溺れる嵐の晩
菜々子(結婚3年目・在宅ワーカー / 相手は涼介さん(近所の既婚男性)
朝、目が覚めたら涼介さんはもういなかった。
気が急いて先に言ったけど、経緯を最初から書かせてほしい…
もう触れられない生活に疲れて——求められることに飢えていた自分がいた。
気づけば、会話らしい会話が途絶えていたことに、慣れてしまっていた。
今さらだけど、夢だったことにしたい夜も正直ある。
涼介さんは近所の既婚男性。お互い家庭がある相手だと、それでも視線を追ってしまう自分がいた。
同窓会のあと、涼介さんとだけ連絡を取り続けていた。
止め忘れた蛇口の、ぽたぽたという音だけが、時間に流されず残った。
エアコンの効きが強すぎて肌寒くて、途中でそれが妙に気になった。
強がりも、その手の前では無意味だった。
そっと顎を掬われ、腰から下が焼けるように熱い。
背中に手を回され、うなじから力が抜けた。
背中のホックを一つずつ外され、内ももがきゅうっと締まった。
ワンピースの背中のジッパーを外され、肩が小刻みに震えた。
耳たぶを熱い息でくすぐられ、膝がきゅうっと締まった。
涼介さんが太ももの内側を爪の先でなぞると、声を殺す意味も感じなかった。
(ぬぷぬぷ、こくり、きゅん)
「くぅっ…やだ、気持ちいいっ」
「菜々子、その顔、堪らないな」
尖った乳首を焦らすようになぞられるたびに、わたしは遠慮なく彼にしがみついた。
膝の裏をねっとりと舐められるたびに、全身がひくついた。
濡れそぼった花びらを強く揉みしだかれるたびに、腰がずくずくと疼いた。
(きゅうっ、ぬぷっ)
「涼介さん…ひぅ…もっと…!」
涼介さんが浅い場所を焦らすように擦ると、うなじが震えて止まらない。
真上から腰を落とされ、ぱんぱんと肌のぶつかる音が響き、わたしは自分から脚を絡めた。
「恥ずかしい…ぁ…!」
「菜々子、全部、俺のものだ」
一突きごとに体を揺らされ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、いいと思ったから素直に頷いた。
涼介さんが奥をずんと突き上げると、わたしは彼の背に爪を立てた。
(ぱちゅん、はぁっ)
「は…っ…うそ、変になるっ…」
限界が来て、わたしは彼にしがみついたまま昇りつめた。
「ぁ…もっと激しくっ…」
少し休んだあと、彼はまた覆いかぶさってきた。
涼介さんが敏感な芽を手のひらで包み込むと、全身が芯から蕩けた。
涼介さんが首筋に唇を押し当てると、全身が強張った。
背中の中心をねっとりと舐められるたびに、つま先が強張った。
「涼介さん…はぅ…もっと……」
「菜々子、俺だけを見て」
涼介さんが胸の先を手のひらで包み込むと、首筋が甘く痺れた。
脇腹を焦らすようになぞられ、わたしは自分から脚を絡めた。
下腹部に遠慮のない愛撫を感じて、膝が芯から蕩けた。
「ふぁ…イッちゃう〜っ」
ベッドのきしみを立てながら、爪先がきゅうっと締まった。
涼介さんが根元まで一息に押し込むと、耳の奥から力が抜けた。
涼介さんがゆっくりと沈み込むと、身をよじることしかできなかった。
「全部あげる…んぅ……」
「菜々子、潤んだ目、全部見たくなる」
ゆっくりと押し入られると、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、胸の奥から力が抜けた。
後ろから深く突かれ、腰が勝手に浮き上がった。
根元まで一気に貫かれ、ずちゅずちゅと濡れた音が漏れ、背筋がきゅっと縮こまった。
(くちゅ、ぞくり、ずちゅ)
「もっと…ぁぅ…」
目の前が白く飛んで、わたしの中が強く締まった。
「ふぁ…深いところ…!」
求められた記憶が、日常を余計に苦しくした、夫への嘘だけが増えていく。
抜け出せる自信がない——それだけは確かだ。
何かの折に止め忘れた蛇口の、ぽたぽたという音に触れると、あの夜が勝手に立ち上がってくる。