香織の秘めごと
香織(40代前半・歯科助手 / 相手は俊介さん(同じ職場の先輩)
自慢でも懺悔でもなく、ここに打ち明けてみる。
何か事件が欲しくて、溺れる予感に目をつぶった。
子どもが生まれてから、労われることが思い出せなくなっていたことに、慣れてしまっていた。
俊介さんは同じ職場の先輩。触れてはいけない相手だと、それでも拒みきれない自分に気づいていた。
酔った夫を俊介さんが家まで送ってきた、その夜だった。
しおらしくなる自分が、いちばん許せなかった。
今も忘れられずにいるのは、洗い落とした香水のかすかな残りを、行為より鮮明に覚えている。
額を合わせたまま、こめかみが強張った。
そっと顎を掬われ、うなじが焼けるように熱い。
「香織、こんな一面あったんだ」
キャミソールをじれったいほど焦らして脱がされ、枕に顔をうずめた。
タイツを引き下ろされ、肌がびくりと跳ねた。
敏感な芽を焦らすようになぞられるたびに、胸の奥が細かく痙攣した。
鎖骨のくぼみを激しく掻き回されるたびに、いいと思ったから素直に頷いた。
尖った乳首を円を描くように擦られるたびに、私は短く彼の名を呼んだ。
「気持ちいい…んあっ、、、」
「香織、全部、俺に預けて」
俊介さんが濡れそぼった花びらに指を這わせると、「もう無理」と短く言った。
うなじを指の腹でこね回され、腰がとろけそうになった。
俊介さんが腰のくびれに指を沈めると、喉の奥が震えて止まらない。
(ずちゅん、んっ)
「俊介さん…はぅ…恥ずかしいぅ…」
二人分の乱れた息に頭を溶かされて、爪先がずくずくと疼いた。
肌のぶつかる音が響くなか、お腹の底が小刻みに震えた。
(ぬちゃ、ぬぷぬぷ、ぐちゅん)
「は…っ…気持ちいい〜っ」
「香織、濡れ方、可愛すぎる」
後ろから深く突かれ、ずちゅずちゅと濡れた音が漏れ、こめかみが波打った。
真上から腰を落とされ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、肌がとろけそうになった。
(ぞくり、ぞくぞく)
「んっ…ねえ、して〜っ」
声を上げる間もなく、私は彼の腕の中でぐったりと脱力した。
「ああっ…奥まで来て……」
ぶっちゃけ体だけのはずが、俊介さんの連絡がないと落ち着かなくなった。
求められる悦びを知ってしまって、それでも日常には戻れなかった。
誰にも打ち明けられない——きっとこの先も。
ふとした拍子に洗い落とした香水のかすかな残りが耳に届くと、あの夜が勝手に立ち上がってくる。
バッグ、玄関に置きっぱなしだったの今思い出した。