背徳の痕跡
遥(結婚7年目・看護師 / 相手は航平さん(近所の既婚男性)
危ういと知りながら——求められることに飢えていた自分がいた。
でさ、気づけば、名前で呼ばれることが忘れていたことに、慣れてしまっていた。
航平さんは近所の既婚男性。真面目に生きてきたのに、という枷が、少しずつ緩んでいた。
PTAの打ち上げで、隣の席が航平さんだった。
床の照明がオレンジ色で、それだけ覚えてる。
換気扇がずっと立てていた低い音——それが、あの夜の入り口だった。
この温もりを手放したくなくて、しがみついた。
「ずっと、こうしてて」
そっと顎を掬われ、太ももがとろけそうになった。
首筋を吸われ、全身がびくりと跳ねた。
「遥、もう一回いける?」
スカートのファスナーをそっと外され、全身がじわりと蕩けた。
肩紐をじれったいほど焦らして脱がされ、お腹の底がぴくんと反応した。
首筋を円を描くように擦られるたびに、喉の奥が甘く痺れた。
敏感な芽を強く揉みしだかれるたびに、息から力が抜けた。
航平さんが尖った乳首をきつく吸い上げると、声が甘く痺れた。
(ぱちゅん、とろん、ふるり)
「航平さん…はぁっ…そこ、もっと激しく……」
「離れないで」
航平さんが背中の中心を指で押し広げると、私は「だめ」と言いながらしがみついた。
航平さんが脇腹をきつく吸い上げると、指先がきゅっと縮こまった。
腰のくびれをじっくり吸い上げられ、声が細かく痙攣した。
(じゅぷ、ずぷ)
「ひぅ…止めないで〜っ」
根元まで一気に貫かれ、ぱんぱんと肌のぶつかる音が響き、膝がぞくりと粟立った。
片脚を抱え上げられて深く繋がり、膝の裏がじんと熱を持った。
抜き差しを繰り返され、全身が勝手に浮き上がった。
「んあっ…そんなにしないでっ…」
「遥、腰つき、そそるね」
最奥をぐりぐりと押し上げられ、息が波打った。
一突きごとに体を揺らされ、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、お腹の底がずくずくと疼いた。
繋がったまま抱き起こされ、身をよじることしかできなかった。
(ぞくぞく、とろとろ、ふるり)
「んあっ…止まらない…!」
声を上げる間もなく、私は背をのけぞらせて固まった。
「んぅ…イッちゃう〜っ」
参観日で、相手と目が合わないよう必死だった。
求められる悦びを知ってしまって、戻れない場所まで来てしまった。
戻れる気がしない——今でもそう思う。
今でも換気扇がずっと立てていた低い音に出くわすと、後悔と未練が同じ顔で並ぶ。