内緒の秘めごと
由紀(アラフォー・スーパーのパート / 相手は颯太(仮)さん(友達の彼氏)
正しいかは置いておいて、吐き出させてほしい。
夫への当てつけのつもりで——その夜だけは、いい妻をやめた。
女に戻りたいという気持ちだけが、少しずつ膨らんでいた。
飲みかけのペットボトル、玄関に置きっぱなしだったの今思い出した。
颯太(仮)さんは友達の彼氏。相手も妻子持ちだと、それでも気づけば身を委ねていた。
夫と喧嘩した勢いで家を出て、気づけば颯太(仮)さんに電話していた。
主導権を渡したくなくて、必死に平静を装った。
「今のは、なし」
うわ、たぶん一生忘れない、いい意味でも悪い意味でも……。
自分でも意外なほど際立っているのは、止め忘れた蛇口の、ぽたぽたという音が記憶の栞になっている。
その日は喉が渇いてて、体がやけに敏感だった気がする。
背中に手を回され、膝の裏が芯から蕩けた。
深く舌を絡められ、膝の裏がびくりと跳ねた。
「由紀、我慢しなくていい」
シャツのボタンを緩められ、「もっと」とだけ言った。
ジーンズのボタンをぷつりと外され、あたしは彼の背にすがりついた。
潤んだ奥を舌先で舐め上げられ、息がびくりと跳ねた。
尖った乳首を小刻みに刺激されるたびに、膝の裏がひくついた。
(くぷ、きゅん)
「やっ…そこ、そこ弱いのっ」
「由紀、俺だけを見て」
下腹部をじっくり吸い上げられ、こめかみがふわりと浮いた。
敏感な芽をきゅっと摘ままれ、膝が震えて止まらない。
鎖骨のくぼみを指の腹でこね回されるたびに、肩がこわばった。
「ひぅ…もう無理っ」
濡れた水音しか聞こえないまま、こめかみが焼けるように熱い。
颯太(仮)さんがゆっくりと沈み込むと、声を殺す意味も感じなかった。
(ぴく、とろん、ぬちゅっ)
「颯太(仮)さん…はぁっ…してっ」
「由紀、もっと欲しがっていい」
最奥をぐりぐりと押し上げられ、「もっと」とだけ言った。
颯太(仮)さんが浅い場所を焦らすように擦ると、太ももが芯から蕩けた。
颯太(仮)さんがゆっくりと沈み込むと、つま先がとろけそうになった。
「ひぁっ…お願い、してっ」
全身が硬直して、涙が一粒こぼれた。
「んあっ…全部あげるっ」
後ろめたさから、夫の前でいい妻を演じるようになった。
見返した気になって、それでも夫への嘘だけが増えていく。
気づけば、この熱の置き場所がなかった。
ふとした拍子に止め忘れた蛇口の、ぽたぽたという音に出くわすと、心臓が小さく跳ねる。