忘れられない高層階の秘めごと
C子(30代前半・主婦 / 相手はF夫さん(夫の後輩)
本当にただの出来心で、その夜だけは、いい妻をやめた。
もう何年も、手を繋ぐことが思い出せなくなっていたことに、慣れてしまっていた。
F夫さんは夫の後輩。母親なんだから、という縛りが、かえって甘くなった。
隣に引っ越してきたF夫さんの、荷ほどきを手伝った。
彼のシャツに染みついた、知らない香水の匂いを、体の方が覚えている。
求められている実感に、溺れていった。
額を合わせたまま、彼に何か言いかけて言葉が溶けた。
背中に手を回され、あたしは涙目になった。
スカートを引き下ろされ、耳の奥が甘く痺れた。
背中のホックを焦らすように外され、感じるたびに声がこぼれた。
ワンピースの背中のジッパーを緩められ、あたしは名前を何度も呼んだ。
耳たぶに止まらない指の動きを感じて、膝の裏がきゅうっと締まった。
F夫さんが膝の裏に唇を押し当てると、腿の付け根がぴくんと反応した。
F夫さんが下腹部を舌先で転がすと、気持ちを言葉にせずにいられなかった。
(ぴちゅ、とろとろ、ぴちゃ)
「止まらない…やっ……」
「C子、肌、全部見たくなる」
F夫さんが濡れそぼった花びらに舌を這わせると、全身が強張った。
F夫さんが尖った乳首を手のひらで包み込むと、お腹の底がじわりと蕩けた。
太ももの内側を小刻みに刺激され、あたしはもう声を殺せなかった。
(ずちゅん、ずくん)
「もっと…やっっ…」
小刻みに突き上げられ、ぱんぱんと肌のぶつかる音が響き、指の先から力が抜けた。
濡れた水音が響くなか、つま先がふわりと浮いた。
「くぅっ…うそ、気持ちいい…!」
「C子、もっと乱れて」
ベッドのきしみに頭を溶かされて、あたしは「だめ」と言いながらしがみついた。
F夫さんが腰を強く打ちつけると、うなじがじんと熱を持った。
浅いところを焦らすように擦られ、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、背中が焼けるように熱い。
「は…っ…イッちゃう、、、」
声を上げる間もなく、指先まで痺れが走った。
「やっ…だめ、頭が真っ白っ…」
体だけのはずが、F夫さんの連絡がないと落ち着かなくなった。
上の階の足音がうっすら聞こえてて、変に気が散った。
あの数時間の私が、いちばん本当の私だった気がする、夫への嘘だけが増えていく。
結局のところ、後悔と未練が同じ顔で並んでいた。
今でも彼のシャツに染みついた、知らない香水の匂いに出くわすと、体の奥がざわりとする。