真夏の夜の余韻
香織(30歳・ヨガ講師 / 相手は圭さん(かかりつけの医師)
太ももの内側に遠慮のない愛撫を感じて、背中が強張った。
いきなり濃いところから書いてしまったけど、そもそもの話をさせてほしい。
そういえばその日、寝坊して朝ごはん抜いてたんだよね。
求められたい、という願いが、理性を溶かした。
しばらく前から、手を繋ぐことが思い出せなくなっていたことに、慣れてしまっていた。
時計は深夜2時を回ってて、それだけはっきり覚えてる。
圭さんはかかりつけの医師。真面目に生きてきたのに、という理性が、その夜だけ働かなかった。
カラオケで一人また一人と抜けていって、最後に二人が残った。
その日部屋着のジャージで、正直それが一番恥ずかしかった。
帰り道に握りしめたスマホの熱だけが、時間に流されず残った。
認めたくなかった。自分が求めていることを…
「勘違いしないで」
深く舌を絡められ、私はいやいやと首を振った。
うなじに口づけられ、お腹の底から力が抜けた。
「力、抜けてきたね」
下着をそっと脱がされ、私はぶっきらぼうに腰を寄せた。
ブラウスのボタンを焦らすように外され、私は短く彼の名を呼んだ。
背中のホックをぷつりと外され、私は自分から脚を絡めた。
脇腹にぬるりとした感触を感じて、私は正直に声を上げた。
胸の先を小刻みに刺激され、こめかみがじんと熱を持った。
「んぅ…ねえ、全部あげる…!」
「その表情、ずるいな」
下腹部を舌先で舐め上げられ、胸の奥が勝手にくねった。
圭さんが首筋を指で押し広げると、指の先が焼けるように熱い。
「は…っ…お願い、してぅ…」
ゆっくりと押し入られると、つま先が焼けるように熱い。
真上から腰を落とされ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、腿の付け根が甘く痺れた。
湿った衝突音を立てながら、感じてることを隠さなかった。
「圭さん…ふぁ…変になる〜っ」
「反応、ぐっとくる」
ベッドのきしみが響くなか、内ももがきゅっと縮こまった。
片脚を抱え上げられて深く繋がり、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、いいと思ったから素直に頷いた。
圭さんがゆっくりと沈み込むと、爪先が勝手に浮き上がった。
(ふるっ、ぱちゃ)
「恥ずかしい…ひぅぅ…」
何度目かの波で、私は背をのけぞらせて固まった。
「ああっ…深いところっ」
その夜以来、夫に抱かれるのがぎこちなくなった。
解放感の裏で、後ろめたさもちゃんと育っていた、日常には戻れなかった。
忘れられそうにない——今でもそう思う。
不意に帰り道に握りしめたスマホの熱に出くわすと、あの夜が勝手に立ち上がってくる。