忘れられない温泉の時間
玲奈ちゃん(30代半ば・歯科助手 / 相手は駿さん(元同僚)
自慢でも懺悔でもなく、吐き出させてほしい。
自分を雑に扱いたい気分で——その夜だけは、いい妻をやめた。
夫とは、この十年名前で呼ばれることも忘れていた。
駿さんは元同僚。触れてはいけない相手だと、それでも触れられた手を、振り払えなかった。
マンションのエレベーターが止まり、駿さんと閉じ込められた。
ってか主導権を握る快感に、少し酔っていた。
「素直になったら?」
その日メイク落としかけで、正直それが一番恥ずかしかった。
彼のシャツに染みついた、知らない香水の匂いだけは、今も手放せない。
指を絡めて握られ、みぞおちがひくついた。
そっと顎を掬われ、わたしは名前を呼ぶのが精一杯だった。
「目、そらさないで」
ワンピースをそっと脱がされ、背筋がこわばった。
ワンピースの背中のジッパーをぷつりと外され、「もっと」と口が勝手に動いた。
潤んだ奥に熱を持った舌先を感じて、耳の奥が強張った。
腰のくびれを熱い息でくすぐられ、肩が勝手に浮き上がった。
何かを口走りそうになる。
(ぬちゃ、ぴちゃ)
「ああっ…もっと…!」
「玲奈ちゃん、こんな一面あったんだ」
鎖骨のくぼみを指の腹でこね回されるたびに、背中から力が抜けた。
駿さんが首筋をきつく吸い上げると、太ももから力が抜けた。
濡れそぼった花びらを熱い息でくすぐられ、わたしは彼の背に爪を立てた。
「は…っ…溶けちゃう…」
ゆっくりと押し入られると、息が震えて止まらない。
肌のぶつかる音しか聞こえないまま、肌がぞくりと粟立った。
真上から腰を落とされ、声がずくずくと疼いた。
「はぁっ…奥、イッちゃうっ」
「感じてるの、丸わかりだよ」
駿さんが浅い場所を焦らすように擦ると、肌が勝手にくねった。
抜き差しを繰り返され、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、肌が震えて止まらない。
一突きごとに体を揺らされ、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、内ももから力が抜けた。
(ずちゅん、ぬちゃ)
「駿さん…ひぁっ…うそ、全部あげる、、、」
全身が硬直して、わたしは彼にしがみついたまま昇りつめた。
「はぁっ…して…!」
呼吸も整わないうちに、彼はまた覆いかぶさってきた。
駿さんが脇腹に唇を押し当てると、耳の奥がぴくんと反応した。
敏感な芽をきゅっと摘ままれるたびに、わたしは自分から彼を引き寄せた。
内ももに止まらない指の動きを感じて、うなじがきゅうっと締まった。
(ぐちゅ、じゅぷ)
「くぅっ…止まらないっ」
「潤んだ目、たまらないよ」
耳たぶをゆっくり撫で上げられ、指先がきゅっと縮こまった。
背中の中心をつぷりと押し開かれ、喉の奥が細かく痙攣した。
うなじをそっと甘噛みされるたびに、肌が小刻みに震えた。
(とくん、ぐちゅん)
「恥ずかしい…はぅっ…」
駿さんがリズムを上げて攻め立てると、わたしは思わず顔を覆った。
繋がったまま抱き起こされ、ずちゅずちゅと濡れた音が漏れ、わたしはもう声を殺せなかった。
駿さんが奥をずんと突き上げると、つま先がびくりと跳ねた。
「はぁっ…待って、そこ弱いのっ」
「玲奈ちゃん、濡れ方、たまらないよ」
リズムよく揺さぶられ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、耳の奥が細かく痙攣した。
駿さんが最奥を抉るように穿つと、腰がきゅうっと締まった。
根元まで一気に貫かれ、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、腿の付け根が勝手に浮き上がった。
(きゅん、ぬちゅっ、ぎゅっ)
「んっ…待って、止めないで、、、」
こらえていたものが弾けて、わたしは彼にしがみついたまま昇りつめた。
「ふぁ…全部あげる……」
翌月、駿さんは遠くへ転勤していった。
求められた記憶が、日常を余計に苦しくした、また会いたくなる自分がいる。
それからずっと、優しさの方がたちが悪いと知った。
あれ以来彼のシャツに染みついた、知らない香水の匂いを思い出すと、あの熱がぶり返してくる。