忘れられないエレベーターの余韻
麻衣(30代後半・専業主婦 / 相手は航平(仮)さん(子どもの習い事の講師)
ちゃんと見てほしい、ただそれだけの気持ちに勝てなかった。
長いあいだ、労われることが忘れていたことに、慣れてしまっていた。
航平(仮)さんは子どもの習い事の講師。指輪をした身で、と思うほど、目が離せなくなった。
エレベーターが点検で止まって、航平(仮)さんと二人きりで十分ほど閉じ込められた。
時計は2時半を回ってて、それだけはっきり覚えてる。
帰り道に握りしめたスマホの熱を、体の方が覚えている。
期待するのはやめよう、と最初から決めていた。
首筋を吸われ、背筋がきゅうっと締まった。
濡れた下着をずらされ、私は背をのけぞらせた。
ジーンズのボタンをそっと外され、肩がぞくりと粟立った。
航平(仮)さんが膝の裏を舌先で転がすと、息がびくりと跳ねた。
航平(仮)さんが濡れそぼった花びらに指を這わせると、腰がきゅっと縮こまった。
太ももが、火照っている。
「もっと激しく…あっ、、、」
「麻衣、潤んだ目、反則だよ」
鎖骨のくぼみを転がすように弄られ、声を出すまいと決めていた。
腰のくびれを指の腹でこね回されるたびに、膝が焼けるように熱い。
「航平(仮)さん…ぁ…そこ弱いの……」
航平(仮)さんがリズムを上げて攻め立てると、体の反応を他人事のように感じた。
最奥をぐりぐりと押し上げられ、私は理性を手放した。
腰の奥が、熱を持っている。
「航平(仮)さん…は…っ…溶けちゃう…」
「麻衣、力を抜いて」
ベッドのきしみに頭を溶かされて、腰の奥から力が抜けた。
繋がったまま抱き起こされ、ぱんぱんと肌のぶつかる音が響き、全身が波打った。
ゆっくりと押し入られると、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、首筋がとろけそうになった。
(ぴく、ぐちゅん)
「航平(仮)さん…ひぁっ…変になる…」
何度目かの波で、私は彼にしがみついたまま昇りつめた。
「ひぅ…やだ、奥まで来て……」
汗が引く間もなく、彼の欲はまだ収まっていなかった。
首筋をそっと甘噛みされ、私は天井を見つめたままだった。
太ももの内側を小刻みに刺激され、感覚だけが妙に鮮明だった。
太ももが、熱を持っている。
(ちゅっ、とろり、ぎゅっ)
「イッちゃう…やっっ…」
「もう限界?」
下腹部をゆっくり撫で上げられるたびに、息が細かく痙攣した。
胸の先を転がすように弄られるたびに、腰の奥が焼けるように熱い。
耳たぶをくすぐるように触れられ、うなじがとろけそうになった。
(びくっ、ぐちゅ)
「は…っ…もっとっ」
肌のぶつかる音を立てながら、私はいやいやと首を振った。
航平(仮)さんが根元まで一息に押し込むと、お腹の底が甘く痺れた。
腕が、火照っている。
(ふるり、ぴくぴく)
「航平(仮)さん…変になる…やっ…!」
「声、ぐっとくる」
真上から腰を落とされ、背中が震えて止まらない。
軋むヘッドボードに混じって、膝立ちが崩れそうになった。
「航平(仮)さん…やっ…ねえ、見ないで〜っ」
こらえていたものが弾けて、頭の中で何かが弾けた。
「頭が真っ白…んあっ……」
事が済むと、航平(仮)さんはさっさとシャワーへ消えた。
罪悪感と快感が、同じ場所で疼き続けている、戻れる気がしない。
終わってみれば、普通の顔で会い続けるのが罰だった。
不意に帰り道に握りしめたスマホの熱に触れると、あの夜が勝手に立ち上がってくる。
こういうの書くの初めてで緊張してる。