禁断の夜——ホテルにて
成…(結婚7年目・在宅ワーカー / 相手は遼(仮)さん(昔の恋人)
満たされない毎日の隙間に——手を伸ばしたのは、私からだった。
ってかこの家では、手を繋ぐことなんてぷつりと止まっていた。
遼(仮)さんは昔の恋人。友人の夫でもあると、それでも距離を詰めたのは私からだった。
夫と冷戦中のある夜、遼(仮)さんから飲みに誘われた。
まじで他の何より焼きついて離れないのは、飲みかけで温くなった缶コーヒーだ。
からかっていたはずが、自分の方が火照っていた。
「我慢できてる?」
外を走る車の音のせいで、なんだか落ち着かなかった。
頬を包まれて、息が震えて止まらない。
額を合わせたまま、胸の奥がとろけそうになった。
ベルトを焦らすように外され、息がとろけそうになった。
ジーンズのボタンをそっと外され、指の先が勝手にくねった。
敏感な芽をじっくり吸い上げられ、胸の奥が勝手にくねった。
腰のくびれに止まらない指の動きを感じて、喉の奥が芯から蕩けた。
遼(仮)さんが下腹部に唇を押し当てると、お腹の底がとろけそうになった。
喉が、うまく力が入らない。
(ぬちゃ、ぴちゅ、んっ)
「んあっ…離さないで…!」
「成、もう少しだけ、いい?」
膝の裏に遠慮のない愛撫を感じて、耳の奥が小刻みに震えた。
背中の中心を激しく掻き回され、腰から下が甘く痺れた。
鎖骨のくぼみをねっとりと舐められるたびに、背筋がじわりと蕩けた。
「んあっ…そこ弱いのぅ…」
きしむマットレスの音が響くなか、思わず声がこぼれた。
一突きごとに体を揺らされ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、首筋が波打った。
(ふるり、ぞくり)
「遼(仮)さん…恥ずかしい…んぅ……」
「成、全部欲しい」
濡れた水音しか聞こえないまま、あたしはいやいやと首を振った。
遼(仮)さんが最奥を抉るように穿つと、背中がひくついた。
「ひぅ…もう無理……」
目の前が白く飛んで、あたしは彼にしがみついたまま昇りつめた。
「はぁっ…我慢できないぅ…」
家族の写真に、自分だけ映れない気がした。
特別扱いされて舞い上がって、それでもこの熱の置き場所が分からない。
ってか誰にも打ち明けられない——今でもそう思う。
ふとした拍子に飲みかけで温くなった缶コーヒーが蘇ると、時効にならない何かが疼く。