帰り道、狂おしいはじまり
詩織(30歳・会社員 / 相手は健吾(仮)さん(元同僚)
夫だけずるい、という思いから——一線を越える言い訳を探していた。
夫とは、この十年見つめ合うことも途絶えていた…
健吾(仮)さんは元同僚。友人の夫でもあると、それでも会うと胸が跳ねた。
…夫の愚痴を聞いてもらううちに、健吾(仮)さんに肩を抱かれた。
その日は肌寒くて、体がやけに敏感だった気がする。
あの、自分でも意外なほど忘れられずにいるのは、洗い落とした香水のかすかな残り——それだけは今も色褪せない。
時計は3時前を回ってて、それだけはっきり覚えてる。
えっと、断り方が分からなくて、目をそらすことしかできなかった。
「…こんな私で、いいの?」
首筋を吸われ、私は身を固くした。
背中のホックを焦らすように外され、私は小さく首を振った。
スカートをはだけられ、しがみつく腕に力がこもった。
腰のくびれに容赦のない指を感じて、腰から下がじんと熱を持った。
健吾(仮)さんが潤んだ奥にそっと歯を立てると、腰から下がびくりと跳ねた。
「くぅっ…してっ…」
「腰つき、見てられないな」
膝の裏を激しく掻き回されるたびに、みぞおちがじんと熱を持った。
首筋に熱を持った舌先を感じて、膝の裏が細かく痙攣した。
(ぱちゃ、ちゅっ、こくり)
「ああっ…恥ずかしい、、、」
後ろから深く突かれ、ぱんぱんと肌のぶつかる音が響き、胸の奥がひくついた。
荒い息づかいを立てながら、背中がぞくりと粟立った。
(ずくん、ぴく、ぬるり)
「ひぁっ…そんな、全部あげる…」
「もっと聞かせて」
荒い息づかいしか聞こえないまま、首筋がずくずくと疼いた。
浅いところを焦らすように擦られ、耳の奥がきゅうっと締まった。
(ちゅく、ぬるり)
「はぅ…ねえ、もう無理…」
こらえていたものが弾けて、私は小刻みに震え続けた。
「我慢できない…んあっ…」
行為そのものより、あとで髪を撫でられたことの方がずっと効いた。
特別扱いされて舞い上がって、それでも終わらせ方が分からない。
気づけば、都合のいい女になっていた。
今でも洗い落とした香水のかすかな残りに触れると、あの夜に一瞬で引き戻される。