抗えない沼——私の部屋にて
沙耶(結婚3年目・主婦 / 相手は達也さん(合コンで隣になった人)
自慢でも懺悔でもなく、一度ちゃんと書いておく。
どうしようもない寂しさから、止まる理由が、思いつかなかった。
夫とは、しばらく前から二人で笑うことも消えていた。
その日はずっと気を張ってて、体がやけに敏感だった気がする。
達也さんは合コンで隣になった人。子どもに恥じない自分でいなきゃ、という縛りが、かえって甘くなった。
夫が出張でいない週末、達也さんから「少し会えないか」と連絡が来た。
感情を切り離しているつもりで、いちばん揺れていた。
「勘違いされても困る」
他の何より忘れられずにいるのは、換気扇がずっと立てていた低い音だった。
今さらだけど、夢だったことにしたい夜も正直ある。
そっと顎を掬われ、背筋が小刻みに震えた。
強く抱き寄せられ、こめかみが焼けるように熱い。
「いい声だ」
ストッキングをじれったいほど焦らして脱がされ、腰が波打った。
スカートのファスナーを焦らすように外され、爪先がひくついた。
脇腹に容赦のない指を感じて、背中がぴくんと反応した。
達也さんが濡れそぼった花びらをきつく吸い上げると、声を出すまいと決めていた。
「はぁっ…離さないで…」
「沙耶、こんな一面あったんだ」
うなじをねっとりと舐められ、体の反応を他人事のように感じた。
首筋を熱い息でくすぐられ、声を出すまいと決めていた。
「はぁっ…お願い、溶けちゃう〜っ」
小刻みに突き上げられ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、みぞおちが小刻みに震えた。
後ろから深く突かれ、膝が小刻みに震えた。
(ぷちゅ、じん…)
「気持ちいい…はぁっ〜っ」
「沙耶、感じてる顔、見てられないな」
達也さんが腰を強く打ちつけると、腰から下が波打った。
リズムよく揺さぶられ、ぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴り、みぞおちが勝手にくねった。
荒い息づかいを立てながら、私はシーツを握りしめた。
(とろり、きゅうっ、ちゅく)
「はぅ…うそ、もっと激しくっ…」
声を上げる間もなく、指先まで痺れが走った。
「んあっ…変になるぅ…」
気づけば、金銭で繋がる関係になっていた。
ときめきを思い出せて、戻れない場所まで来てしまった。
また会いたくなる自分がいる——それが正直なところだ。
不意に換気扇がずっと立てていた低い音に触れると、あの夜に一瞬で引き戻される。