梅雨の夜、抗えない情事
優奈(結婚3年目・看護師 / 相手はM介さん(行きつけのバーの常連)
いつか自分が読み返すために、それでも記録として残す。
この渇きを埋めたい、という願いが、理性を溶かした。
夫とは、この十年そばにいてもらうこともぷつりと止まっていた。
ちなみに飲んでたのはカシスオレンジ、たぶん2杯目。
M介さんは行きつけのバーの常連。職場に知られたら終わりだと、それでも気づけば身を委ねていた。
台風で子どもの行事が中止になり、M介さんと時間が空いた。
深入りしないのが、自分の流儀だった。
不思議とはっきり思い出せるのは、彼のタバコと柔軟剤の混じった匂い——それだけは今も色褪せない。
額を合わせたまま、枕に顔をうずめた。
肩紐を脱がされ、背筋がこわばった。
ブラウスのボタンを外され、首筋が焼けるように熱い。
腰のくびれをくすぐるように触れられ、お腹の底がびくりと跳ねた。
M介さんが内ももにそっと歯を立てると、わたしは涙目になった。
濡れそぼった花びらをねっとりと舐められ、息が小刻みに震えた。
(ぬちゃ、くちゅん)
「焦らさないで…ぁっ…」
「優奈、こんな一面あったんだ」
尖った乳首をくすぐるように触れられ、肩がじわりと蕩けた。
首筋をそっと甘噛みされるたびに、声を出すまいと決めていた。
膝の裏に容赦のない指を感じて、お腹の底から力が抜けた。
(ふるっ、ぐちゅ)
「ぁ…見ないでっ」
二人分の乱れた息しか聞こえないまま、太ももがこわばった。
真上から腰を落とされ、腰の奥がびくりと跳ねた。
M介さんがゆっくりと沈み込むと、感覚だけが妙に鮮明だった。
喉が、汗ばんでいる。
(きゅん、きゅうっ)
「もっと激しく…はぅ、、、」
「すごく濡れてる」
ベッドのきしみしか聞こえないまま、うなじがずくずくと疼いた。
湿った衝突音に混じって、つま先がわなないた。
最奥をぐりぐりと押し上げられ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、体の反応を他人事のように感じた。
(じゅる、ぬぷっ、はぁっ)
「くぅっ…うそ、頭が真っ白……」
目の前が白く飛んで、わたしの中が強く締まった。
「んっ…奥まで来て……」
向こうから、ある日突然「もう終わりにしよう」と告げられた。
満たされたのは体だけで、それでも戻れる気がしない。
抜け出せる自信がない——それが正直なところだ。
ふとした拍子に彼のタバコと柔軟剤の混じった匂いを思い出すと、時効にならない何かが疼く。