有紗と亮太、気だるい誘惑
有紗(30代半ば・在宅ワーカー / 相手は亮太さん(部下)
どうしようもない寂しさから、その夜だけは、いい妻をやめた。
誰かに甘えたいという気持ちだけが、気づかないふりで蓋をしていた。
亮太さんは部下。指輪をした身で、という理性が、その夜だけ働かなかった。
終電が人身事故で止まって、途方に暮れていたら近くに亮太さんがいた。
その、遠くで鳴り続けた踏切の音だけが、時間に流されず残った。
恥ずかしいのに、逃げ出せなかった。
「…やさしく、して」
部屋が微妙に散らかってて、我ながらどうかと思った。
そっと顎を掬われ、腰から下が小刻みに震えた。
唇が重なると、全身が芯から蕩けた。
「有紗、濡れ方、ぐっとくる」
下着を脱がされ、私は思わず顔を隠した。
ワンピースをじれったいほど焦らして脱がされ、私はシーツを握りしめた。
潤んだ奥に熱を持った舌先を感じて、腰から下がぞくりと粟立った。
腰のくびれを舌先で舐め上げられ、背筋が震えて止まらない。
(きゅうっ、ぱちゃ)
「ひぁっ…お願い、止めないで〜っ」
「有紗、溶けそうな顔してる」
亮太さんが首筋を爪の先でなぞると、私は小さく首を振った。
亮太さんが背中の中心に指を沈めると、うなじがきゅっと縮こまった。
亮太さんが耳たぶにそっと歯を立てると、下腹の奥がぞくりと粟立った。
(ぱちゅん、ずちゅ、きゅん)
「やっ…お願い、壊れちゃう…」
真上から腰を落とされ、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響き、私はシーツの端を握った。
一突きごとに体を揺らされ、背筋がふわりと浮いた。
(ぞくり、とくん)
「壊れちゃう…はぁっ……」
「有紗、感じてる顔、色っぽいよ」
繋がったまま抱き起こされ、漏れた声に自分で驚いた。
小刻みに突き上げられ、腰がとろけそうになった。
亮太さんがゆっくりと沈み込むと、下腹の奥がわなないた。
(ふるっ、くちゅくちゅ、ぴく)
「奥まで来て…んっぅ…」
きゅうっと締まった瞬間、私は小刻みに震え続けた。
「亮太さん…あっ…もう、気持ちいい、、、」
夫のスマホに、私宛ての通知が映ったのを見た気がした…
欲しかったものを手にして、後ろめたさだけが濃くなった。
…終わってみれば、自分がいちばん割り切れていなかった。
不意に遠くで鳴り続けた踏切の音が蘇ると、時効にならない何かが疼く。